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2012-05-20 [米澤穂信]

 米澤穂信さんの「遠まわりする雛」を読みました。
 ー「傘を持ってくれませんか?」千反田えるからの奇妙な依頼に、折木奉太郎は地元の祭事「生き雛まつり」に参加する。十二単を纏った「生き雛」が町を練り歩くというひな祭りだ。しかし、連絡の行き違いで、祭の実行が危ぶまれてしまう。えるの機転でなんとか祭は無事に開催されたが、どうしてもその「行き違い」が気になる彼女は、奉太郎と共に真相を推理する。ー
 古典部シリーズの短編集。入学直後の「秘密クラブ」事件やら、夏休みに温泉で行われた古典部合宿での「幽霊事件」やら学校生活での1年間を描いています。生徒の緊急呼び出しから事件そのものを推理する「心あたりのある者は」は面白かったです。短い校内放送からよくここまで推理したものです。初詣の神社で起きた「あきましておめでとう」は微笑ましいと思うか、えるに対してイライラするか。私は結構イライラきました。納屋に入る前に言ってあげようよ。奉太郎はこの場所に詳しくないんだからさ。バレンタインデーの攻防を描く「手作りチョコレート事件」は里志君、高校生なんだからもっと素直に生きた方が良いんじゃない?と思ってしまった。里志は摩耶花の懐の深さに甘えているところがあるのかとも思いますが、彼のやったことは正直ちょっとひどい。表題作の「遠まわりする雛」はおひな様に扮したえる達が町内を練り歩くというお祭り。こういうの見てみたいですね。真相を推理し終えた奉太郎が今までとは違います。遠い未来、奉太郎が経営戦略の才能を大いに発揮しているのか、青春の一日の甘酸っぱい思い出として里志あたりに語っているのか、楽しみでもあります。

遠まわりする雛 (角川文庫)

遠まわりする雛 (角川文庫)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/07/24
  • メディア: 文庫



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